こんにちは松島です。
兵庫県で歯科医師しています。
口腔内写真で高いカメラよりも優先すべきもの
僕はブログやYoutubeにて口腔内写真の機材とか撮り方に関する情報を発信しているんですが、
けっこう多くの先生から『口腔内写真をきれいに撮るにはどんなカメラを使ったらいいか?』という質問をいただいております。
で、僕自身もカメラに詳しくなかった時には同じように考えていたのですが、実際にはカメラ以上に重要なものがいくつかあるので、今日はそれについてお話していこうと思います。
【目次】
- カメラの重要度は最下位
- カメラよりもレンズが重要
- レンズよりもストロボが重要
- どのような光が当たるかで9割決まる
まず結論です。
先ほど目次で書いたように、機材の重要度で言えば、
カメラ<レンズ<ストロボ
こういう順番になるんじゃないかなと僕は思っています。
カメラの重要度は最下位
多くの人は写真=カメラが最重要という風に思われると思いますが、
実はそうではありません。
確かにカメラの違いによって色んな部分の違いは生じてきますが、カメラの性能というのは、どちらかというと不利な条件でどれだけ撮りやすいかという部分の差なので、ストロボを使っていい環境を作っていく口腔内写真においてはあまりカメラの性能差は反映されません。
試しにこちらは70万円近いカメラと中古で2万円のカメラの比較ですが、いかがでしょうか?ちなみにレンズとストロボは同じものを使用しています。
設定の追い込みができていないので若干の差がありますし、右の高価なカメラの方が確かにきれいな写りをしているように思いますが、価格が数十倍違う割にはそこまで違いが少ないなと思われるかもしれません。
正直僕は、口腔内写真においてはカメラは最低限のものを使用すれば、後は使用感や好みで選んでいただいていいのではないかと思っています。
ちなみに僕の使うカメラはNikonZ50というミラーレスカメラとNikon D800という一眼レフでどちらも中古で6万円程度ですが、これ以上の描写性能が必要とは思いません。
特に口腔内写真においてD800を超える写りのカメラは今のところないかなというくらいに優れていると感じているので、これから口腔内写真を始めていきたいなという風に思われている先生は、最新の高価なカメラではなく、このあたりのカメラを使ってもらえたらなと思います。
・カメラよりもレンズが重要
ではカメラが重要ではないなら何が重要かというと、まずは『レンズ』です。
一眼レフやミラーレスというカメラはカメラの本体とレンズがそろって初めて写真が撮れるのですが、そのレンズの部分がすごく重要です。
というのもこのレンズ選択によって撮れる写真が全然違ったものになりますし、写りのきれいさや色のでかたまで大きく変わってきます。
なのでカメラのグレードを落としてでもレンズの選択を重要視した方が良いかなと思います。
上の写真は設定等がそれぞれ違うので純粋な比較になりませんが、どのレンズを選ぶかによって色の出方や写真の遠近感や歪みが変わってくるのでカメラの性能以上に違いがが生じます。
※詳しいレンズの違いによる写真の違いはまた別の機会に解説します
今まで使用してきた中ではNikon用のレンズでは以下のものがオススメです。
・Tamron 90mmf2.8macro(2世代前)
(90mmの焦点距離で最も軽くて写りが良い)
・Tamron 90mmf2.8macro(現行or1世代前)
(手振れ補正があり若干だけ写りが良い)
・Nikon 60mmF2.8micro
(APS-Cのカメラを使用されている方向け)
これらが実際に使った感じでオススメです。
対してオススメしにくいのが
・Nikon DX85mmf3.5Micro
(色がオレンジに転びがちで、歯の透明感がきれいに出にくい気がする)
・Nikon 105mmf2.8micro
(描写は良いがレンズが重い)
僕はコストパフォーマンスと小型軽量を優先するので、
このように考えています。
ともかく上記のオススメのようなレンズを使っていただけたら十分だろうなと思います。
レンズよりもストロボが重要
で、今カメラよりもレンズが重要だといいましたが、そのレンズよりも更に重要なのがストロボです。
もちろんカメラもレンズも適切なものを使用する前提ですが、カメラレンズが違うよりもストロボが違うことによる差の方が大きいと思います。
例えばカメラが同じでもストロボが違うとこれだけ違います。
左がリングストロボ、そして右がツインストロボを使用した写真です。もちろん患者さんが別の人なので純粋な比較はできませんが、光の当たり方が違うことで光の反射具合や、歯肉の表面の性状の見やすさなどが全く違ってきます。ツインストロボの方が光の陰影があって立体感があるように思います。
ただこれだけだと、もしかしたらそんなに違いを感じないなという風に思われる先生もいるかもしれないので、さらに違いを感じやすい写真をお見せしましょう。
良い悪いは別にして、今まで出てきたどの写真よりも雰囲気の違う写真になったんではないでしょうか
ちなみに70万のカメラを通常の撮り方で撮ったのが左 / 中古で6万程度のZ50に特殊な撮影方法を組み合わせたのが右という感じになっています。
安いカメラでも
明らかに画質が良く撮れています。
ではこれはどうやって撮った写真かというと、今までの写真がリングストロボにしてもツインストロボにしてもそのまま使用していたのに対して、今回はツインストロボにさらにバウンサーというものを使用して写真を撮っています。
バウンサーというのはこういうもので、この写真だけだと何が何か分からないと思いますが、簡単に言えば一度光を左右の大きな白い板に反射させて、その跳ね返ってきた光を歯にあてて写真を撮るという仕組みです。
これをするだけで光がすごく柔らかくなることで上質な写真に仕上がります。
この機材で口腔内写真を撮るとこのような感じです。
一度このクオリティで撮れると、多少不便でも常にこのバウンサー付きで写真が撮りたいなという感じになるくらい、圧倒的にキレイな画質で撮れます。
いかにストロボのや撮影方法の差が画質の差を生むかわかっていただけたんじゃないかと思います。
このように口腔内写真において画質を決める要素は高いカメラではなく、良い光をストロボで作ってやるという所に尽きます。
もちろん良い悪いというのに絶対的なものはなく、ご自身が理想とされる写りを的確に実現できることが重要になるかなと思いますが、この情報が少しでも皆様の機材選びの参考になれば嬉しいです。
これからも口腔内写真に関する情報を発信していきますのでそちらも楽しみにしておいてください^^
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